鹿島建設
鹿島建設株式会社(かじまけんせつ)は、日本の大手総合建設会社である。対外的には単に鹿島と称している。
目次
概要[編集]
「スーパーゼネコン」とも称される、ゼネコン大手五社(鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、大林組)の一つで、完成工事高で比較しても、業界のリーディングカンパニーである。
超高層ビル事業を得意とし、蓄積された高度な技術とノウハウ、業界髄一の技術研究所を有している。東京駅の八重洲口再開発や丸の内駅舎保存・復原工事(2012年10月1日完成)、秋葉原地区などの開発事業や海外でのプロジェクトにも実績が豊富である。一方で社員があっせん利得処罰法違反で逮捕されるなど、数々の談合事件にも関与しており、その後の建設業者に少なからず影響を与えている。
コーポレートスローガンは「100年をつくる会社」である。
沿革[編集]
- 1840年(天保11年)鹿島岩吉、江戸四谷で大工の修行後棟梁株を入手し江戸中橋正木町に店を構える。屋号は「大岩」。
 - 1880年(明治13年)鹿島組創立。東京京橋木挽町九丁目に本店を構え、鹿島岩蔵が初代組長となる。
 - 1918年(大正7年)丹那トンネル西口着工。1934年(昭和9)完成まで17年の歳月を要した難工事。
 - 1929年(昭和4年)本店を木挽町より八重洲へ移転。
 - 1930年(昭和5年)株式会社鹿島組設立(資本金300万円)。鹿島精一が社長となる。
 - 1938年(昭和13年)鹿島守之助社長就任。
 - 1945年(昭和20年)花岡事件。戦時下、秋田県の花岡鉱山で、徴用され過酷な強制労働を強いられていた中国人労働者800人が蜂起。
 - 1947年(昭和22年)社名を鹿島建設株式会社に改称。
 - 1965年(昭和40年)日本で最初の超高層ビル、三井不動産霞が関ビル(地上36階)着工。
 - 1968年(昭和43年)本社を赤坂へ移転。跡地は八重洲ブックセンターとなる。
 - 1973年(昭和48年)サンシャイン60着工。
 - 1974年(昭和49年)最高裁判所新庁舎完成。新宿副都心のビル群(新宿住友ビル、KDDビル、新宿三井ビル)完成。
 - 1988年(昭和63年)青函トンネル、本州四国連絡橋完成。
 - 1989年(平成元年)創業150年記念式典挙行。KIビル(鹿島建設本社第二ビル)完成。
 - 1991年(平成3年)KAJIMA EVOLUTION21計画発表、対外的な呼称を鹿島建設から単に「鹿島」とする。
 - 1992年(平成4年)東京イースト21完成。
 - 1993年(平成5年)天王洲アイルシーフォートスクェア完成。
 - 1994年(平成6年)新宿パークタワー、恵比寿ガーデンプレイス完成。ゼネコン汚職事件で副社長の清山信二が逮捕、後に1審・2審とも有罪判決。
 - 1995年(平成7年)阪神大震災復旧工事、テレコムセンター完成。スエズ運河トンネル改修を受注。
 - 1996年(平成8年)フジテレビ本社ビル、エムウェーブ完成。
 - 1997年(平成9年)東京湾横断道路貫通、宮ヶ瀬ダム完成。品質保証に関する国際規格ISO 9000取得。
 - 1998年(平成10年)ISO 14000取得。小倉駅ビル、広島イースト完成。明石海峡大橋開通。
 - 1999年(平成11年)創業160年。来島海峡大橋開通。ゲートシティ大崎完成。
 - 2000年(平成12年)深川ギャザリア 商業棟、代官山アドレス完成。
 - 2001年(平成13年)埼玉スタジアム2002完成。
 - 2002年(平成14年)JR東日本、鉄建建設と連携強化。この年、韓国の建設業者の欠陥工事により崩壊したパラオのKBブリッジの代替となる新KBブリッジが完成(政府開発援助によるもの)。
 - 2003年(平成15年)汐留シオサイトのビル群(パナソニック電工東京本社ビル、日通本社ビル、汐留タワー、トッパンフォームズタワー、共同通信本社ビル)が相次いで完成。六本木ヒルズ森タワー、時事通信本社ビル、深川ギャザリア タワーS棟完成。
 - 2004年(平成16年)八甲田トンネル貫通。軽井沢大賀ホール完成。中国に現地法人「鹿島(上海)工程有限公司」設立。
 - 2005年(平成17年)矢作川橋、秋葉原ダイビル、日本橋三井タワー完成。清水、大林、大成と共同で談合決別宣言を表明。
 - 2006年(平成18年)大阪市立大学高原記念館、新東名高速道路内牧高架橋(PC上部工)、クロスタワー大阪ベイ、虎ノ門タワーズ・オフィス&レジデンス、小丸川発電所上部調整池、産業環状道路第3工区、国立新美術館、秋葉原UDX、練馬トンネル、宮城球場、ラポルトすず、赤坂ガーデンシティ、宏盛帝寶マンション、竣工。5月11日 防衛施設庁談合事件にからむ不正入札に関して、国土交通省から30日間の営業停止命令が下りる。また、同事件にからむ営業停止命令は、同社を含んだゼネコン大手など8社に及ぶ規模。
 - 2007年(平成19年)鉄道博物館、芝浦アイランド、第二名神高速道路池山高架橋(PC上部工)上り線、ニコラス・G・ハイエックセンター、パイオニア川崎事業所、フジテレビ湾岸スタジオ、多摩美術大学附属図書館、サミットウインドパワー鹿嶋発電所、深川ギャザリア タワーN棟、新本社ビル竣工。東京駅丸の内駅舎保存・復原工事に着手(2012年10月完成予定)。3月5日 名古屋の地下鉄談合事件により、国土交通省から3.5か月間の指名停止措置を受ける。12月9日 大分市でのキヤノン製造工場建設の際に下請建設会社に対し架空の外注費を請求したとして、6億円もの追徴課税を東京国税局から受けた。
 - 2008年(平成20年)高層ビル解体においてダルマ落としのように下のフロアから徐々に壊していく鹿島カットアンドダウン工法を世界で初めて開発、実用化。旧本社ビルが同工法の試験に供されて解体された。
 
関連会社[編集]
- アクト・テクニカルサポート
 - アルテス
 - アルモ設計
 - 当間高原リゾート(新潟県十日町市のリゾート施設、ベルナティオを所有)
 - イー・アール・エス
 - イースト不動産
 - イリア
 - エムコ
 - カジマアクアテック
 - 鹿島サービス
 - カジマビジョン
 - カジマメカトロ
 - 鹿島リース
 - カジマ・リノベイト
 - 鹿島軽井沢リゾート(群馬県長野原町のリゾート施設、プレジデントリゾート軽井沢を所有)
 - 鹿島クレス株式会社
 - 鹿島出版会(社員書籍販売)
 - 鹿島建物総合管理
 - 鹿島東京開発
 - 鹿島道路
 - 鹿島リゾート
 - 鹿泉興産
 - かたばみ興業
 - 協和建設工業
 - クリエイティブライフ
 - クリマテック
 - グリーン建材
 - ケミカルグラウト
 - 小堀鐸二研究所
 - 森林公園ゴルフ倶楽部
 - 大興物産
 - テクノウェーブ
 - 那須リゾート
 - 日本海上工事
 - 都市環境エンジニアリング
 - ニューロット
 - ピー・アール・オー
 - ヒューマンライフサービス
 - プラス・アルファ
 - ホテルイースト21東京
 - ホテル鹿島ノ森
 - 八重洲ブックセンター
 - 鹿島アカウンティング
 - 中央工業
 - 鹿島八重洲開発
 
主な施工物件[編集]
- 宮ヶ瀬ダム(事業者:国土交通省関東地方整備局)
 - 新KBブリッジ(日本-パラオ親善の橋)
 - 神戸クリスタルタワー(設計と施工)
 - フジテレビジョン(本社)
 - 深川ギャザリア
 - 霞が関ビルディング
 - 松代大本営
 - 国立新美術館
 - 新宿パークタワー
 - 最高裁判所
 - 両国国技館
 - ユナイテッドアローズ(本店)
 - 女神大橋
 - 箱根ラリック美術館
 - アクトシティ浜松
 - 野球場
 - 東京駅丸の内駅舎保存・復原工事(2012年10月1日完成)
 -   原子力発電所
- 福島第一原子力発電所(本体建屋)
 - 泊原子力発電所
 - 柏崎刈羽原子力発電所
 - 女川原子力発電所
 
 - 中野セントラルパーク・サウス
 
開発地等[編集]
- 高幡鹿島台ガーデン54|東京都日野市南平, 基本計画者/宮脇檀建築研究室、1984年
 - フォレステージ高幡鹿島台|東京都日野市南平, 基本計画者/宮脇檀建築研究室、鹿島建設、1998年
 - フォレスト・ビューKAJIMA南山手|
 - 志木ニュータウン|1971年から、民間企業による住宅地開発としては国内屈指
 - とみや大清水21|宮城県黒川郡富谷町大清水一丁目 仙塩広域都市計画事業 富谷町大清水土地区画整理事業
 - シーアイタウン利府・葉山ガーデンズポート|宮城県利府町、伊藤忠都市開発と
 - センチュリーフォレスト|
 - 汐見台ニュータウン|宮城県宮城郡七ヶ浜町汐見台, 1980年, 西洋環境開発と
 - 岡本レジデンス|アーキサイトメビウスと。世田谷区岡本の丘、邸宅マンションプロジェクト
 - ウェストヒルズ16区|福岡市西区 福岡市の中心・天神地区の西方約10kmの丘にたつ住宅街
 - うぐいす住宅|渋谷区鶯谷町
 - 分譲レジデンス 「マスタービューレジデンス」|
 - 埼玉県プロジェクト『七彩の街』彩の国 機能複合型住宅市街地整備事業|リクルートコスモスほか4社の企業グループの事業計画最優秀案
 - LAZONA川崎レジデンス|駅直結、大型商業施設棟と大規模住宅棟、東芝グループや三井不動産と
 - 青葉台パークホームズ弐番館|三井不動産・鹿島建設の旧分譲、鹿島建設の施工で1995年に8月に竣工したマンション
 
不祥事[編集]
- 2005年に問題となった耐震強度偽装事件との関連で、鹿島と大林組が施工した物件でも構造計算書の偽装が確認された。両社は「不審に思わなかった」と釈明した。
 - 2009年(平成21年)10月24日、羽田空港新滑走路(D滑走路)建設工事をめぐり、発注元の国土交通省の承認を得ずに横浜市内のビル建設工事で出た砂利を埋め立てに転用した疑いがあることが分かった。
 - 2010年(平成22年)4月7日、建材メーカーの岐阜折版工業(岐阜県羽島郡岐南町)などと共同開発したビル用外壁が、耐火構造の仕様に適合しないことが判明した。
 - 2010年(平成22年)12月、大阪市北区内で建設した21階建のビルについて、鉄骨1本が傾いたにもかかわらず、そのまま工事を続け、完工させていたことが判明した。
 - 2012年2月7日、岡山県倉敷市のJX日鉱日石エネルギー水島製油所で海底パイプラインをシールドトンネルで施工中に水があふれ出し、作業員5名が死亡した。原因は2013年現在も調査中である(倉敷海底トンネル事故)。
 - 2013年(平成25年)12月、鹿島が施工主となった東京都港区青山のマンション「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」について、水道管などを設置するための「スリーブ」と呼ばれる穴600ヶ所を開け忘れ、後から配管を通すために穴を開けた(コア抜き)際に一部の鉄筋が切断された。このため同マンションの事業主である三菱地所レジデンスは契約者への引渡しを中止し、鹿島の全額負担により解体と建て直しを行うこととなった。
 
三菱地所:鹿島施工不具合、損失請求へ-南青山高級物件の販売中止で(2014年2月)[編集]
三菱地所レジデンスの販売していた東京・青山の高級マンション「ザ・パークハウス グラン 南青山高樹町」に工事の不具合が見つかり、同社は契約者への引き渡しを断念して、販売を中止した。三菱地所は施工した鹿島に損失を請求する方針を明らかにした。
三菱地所レジデンスがブルームバーグに対し電子メールで説明したところによると、昨年12月にネット掲示板に不具合に関する書き込みがあり、調査の結果、壁や床の配管用貫通孔が施工されていなかったり、位置が間違っていたりする欠陥が判明。3月20日としていた引き渡し日を4、5カ月延期することも検討したが、新たに梁にも問題が見つかり、是正には長期間を要し、引き渡しは1年以上遅れると最終的に判断。
同社は「責任をもって引き渡しできない」として、契約者に対しては合意解約を要請し、協議を進めている。販売された86戸のうち83戸が契約済みという。このマンションの施工を請け負ったのは鹿島 で、機械設備協力会社は関電工 、電気設備協力会社は浜野電設。
鹿島は契約者や三菱地所レジデンスに対し、「多大な迷惑をお掛けし心よりお詫び申し上げる。二度とこのような事例を引き起さないように施工管理の徹底を図って行く」とコメントした。関電工の野本隆史広報担当は、「状況把握中」のためコメントを控えるとしている。
三菱地所広報担当の渡辺昌之氏は電話取材に対し、鹿島に損失を請求する方針を明らかにしたが、請求額はまだ決まっていないという。同社広報部の金森千佳氏によると、このマンションは販売価格が最高3億5000万円、最多価格帯で1億4000万円台。都心のフラッグシップマンション「ザ・パークハウス グラン」シリーズの第1弾として売り出された。
報道を受けて、鹿島株は一時7.9%安の352円で、2013年9月6日以来の日中安値をつけた。三菱地所株は2.9%安の2471円まで下げた。関電工株は10%安の470円まで下げた。下げ幅は2011年3月以来の大きさ。
関連項目[編集]
- 東京メトロポリタンテレビジョン(鹿島建設が大株主の一つ)
 - 鹿島杯女流将棋トーナメント
 - 鹿島精一記念展望台
 - 鹿島Presents 笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ(一社提供のラジオ番組)[1]
 - AKB48のオールナイトニッポン(2012、2013年度のエンディングの協力スポンサーとなった番組)
 - 黒部第四ダム(ダム本体の骨材製造に関与)
 - 鹿島ディアーズ(アメリカンフットボール部。Xリーグに参加)
 - 黒シール事件
 - 花岡鉱山
 - KBブリッジ
 - オーディー05オムニバスチャイナトリーティ
 
関連人物[編集]
脚注[編集]
- ↑ 2012年2月12日から同年3月11日までの放送分は、倉敷海底トンネル事故を受けて提供自粛し、CM枠はACジャパンの公共広告に差し替えられた。